こんにちは! Dr ニーアです。

医者として必要な能力の形成は医学部での学生生活から始まっていることはご存知でしょうか?

今回は学生生活の内に学んでおくべきことに関してお話したいと思います。

医学部生の勘違い

医学部に所属する学生の大半、また、自分を指導する先輩や若手のドクターの大半もまた、以下のように思っています。

『医師国家試験合格のために一生懸命勉強し、その他の限られた時間で部活やアルバイトをして学生生活を楽しむ』

これは間違っていませんが、正しくもありません。

まず、『医師国家試験合格のため』に寝食を惜しんで勉強した場合でも、多少勉強量が足りない場合でも、受験者の90%は医師国家試験に合格可能です。

不合格は下の成績から10~15%程度です。明らかに国家試験合格可能な学生が日々、国家試験の勉強に捉われて時間を費やし続けている状況は多々見受けられますが、医師国家試験は合格するか不合格かの2つです。
医師国家試験合格のために余計な時間を消費し続けている現状があります。

しっかり勉強することは将来のために重要だと言われるかもしれませんが、医師国家試験合格のために勉強する知識の大半は実際に医者になった後に使用しません。医学そのものが日々進歩していることや、医者になった後に必要な知識と技術と関係ない事が試験問題になっている事が多いためです。

また、確かに医学部のクラブ活動はかけがえのない時間と仲間ができます。医者は人との繋がりが多分に影響を与える世界でもあります。同じ大学の出身というだけで目をかけてもらえることもありますし、部活の後輩だとわかったら非常に手厚く対応してもらえることも多いです。しかし、クラブ活動に自身のリソースを割きすぎても自身の今後にはそれほど役に立つわけではありません。

私が思う、学生生活中に必須なことをお話します。それは、

『同級生には出来ない能力を習得する』

ということです

その事が出来るか出来ないかで人生は大きく変わる可能性が高いです。

よって、医者である私が考える学生生活の内に取得すべきことを以下に提案します。

語学学習

日本語以外の語学を学習しておくことは非常に役に立ちます。
一昔前は第二外国語としてドイツ語を必須で学ぶ大学も多かったのですが、最近は英語の重要性が高まった事より、第一外国語は英語であっても、第二外国語は比較的自由に選択できます。
現在の医学における中心言語は英語です。この傾向は殆ど今後しばらくは変化しないと予想されます。英語を学習することの優位性は現在、非常に高いです。
病院においては外国からの留学生を受け入れる機会も多くあります。自分が学びたい事の先駆者は英語圏の人であることも非常に多いです。留学の可能性もあります。仮に海外の留学生や自身が留学しないとしても、論文や研究の分野に関して最先端の内容は英語で公表されます。
また、病院によっては医者の中でも英語を話せる人間を優先的に採用するところも増えてきています。
これから、日本は海外からの労働者や移住者、旅行者が格段に増加します。現時点でも語学の重要性は高いのですが、今後、はるかに重要性が高くなり、また、自身のキャリア形成にも多くの恩恵をもたらすことが多いです。

経済の知識

勤務医になった後の生活を別記事でお話してきましたが、勤務医は忙しさを理由に経済の知識が皆無な人が多いです。例えば自分の給料における税金徴収額の多寡に嘆く一方で、どのような名目の税金がどのような割合で徴収されているのかを正確に把握している人はほとんどいません。30~40%もの税金を取られているにも関わらずです。それを知るところから、自分の生涯年収が100万円単位で変える可能性がある一歩となります。残念ながら、医学部に入るための授業の中に、日常生活に役立つ経済やマネーリテラシーを学習する教科はありません。時間があるうちに、このようなことを勉強しておくべきと考えます。

プレゼンテーション能力

医者は学会発表の場が多いにも関わらず、プレゼンテーション能力を鍛える場面は学生生活の中で皆無に近いです。まさに日本における教育の弊害から抜け出せていない状態です。医者に限らず、どんな仕事でもプレゼンテーションは必須になるにも関わらずです。

まとめ

繰り返しになりますが、普通に学生生活を過ごしていても、医師国家試験には合格できます。クラブ活動のみならず、医者の世界は狭いので、人脈も形成できます。しかし、それは殆ど皆が卒業時には取得しており、他者との差はありません。そこに追加で一つ自身の武器をもつことは間違いなく今後の生活を豊かにしてくれます。

なぜならば、この私自身が正にその必要性を実感しているためです。

学生生活では今しかできないことを精一杯楽しむ事も大事と言われますが、時間をかけて物事を習得できる貴重な期間でもあります。是非、有意義な学生生活を過ごしていただきたいと思います。