こんにちは!Dr ニーアです。

前回、学費が無料になる大学として自治医科大学についてお話しました。

学費として総額2300万円もの大金を実質的に負担しなくても良いのは非常に魅力的ではありますが、その代わりにへき地での医療従事が義務となるため、自身の生活をある程度対価にするか、もしくはへき地での勤務を希望している人であれば、進路にも沿った形で学費も無料となるので、非常に有用な制度ですね。

さて、自治医科大学以外でも学費が条件付きで無料になる大学はあります。

今回は防衛医科大学についてお話します。

防衛医科大学とは?

防衛医科大学とは医師かつ自衛隊の幹部自衛官を養成することを目的としている大学です。

非常に簡単に言うと自衛隊の医学部と考えても大きな誤解はないと思います。

また、他の医学部と同様に6年間の学生生活を経て医師国家試験を受験し、合格すれば医師になるという流れも変わりません。

防衛医科大学のメリット

①試験時期が国公立・私立と異なる
②入学しても学費が実質無料 むしろ学生時よりお給料が発生する。

①試験時期が国公立・私立と異なる
例えば2019年の受験要項を確認してみると9月中が専願受付であり、10月に学力試験(1次試験)、11月に口頭、小論文、身体検査(2次試験)が行われる予定となっております。

これはつまり、国公立や私立の医学部と併願が可能となり、どうしても医者になりたい人にとっては選択肢が広がることになります。一発勝負よりも何度か機会がある方が有利ととらえることもできますね。

また、出願時期でもお分かり頂けると思いますが、センター試験よりも前に行われるため、センター試験の点数が加味されません。(1次試験においては)学力試験1本での勝負となりますので、それをメリットとしてとらえることもできますね。

②入学しても学費が実質無料 むしろ学生時よりお給料が発生する。

これはタイトルにも書きましたが、自治医科大学と同様に学費は実質無料で、むしろ、自治医科大学とは異なり、学生の身分でもお給料が発生し、11~12万円程度の月給が頂けます。

通常、学費が無料となり、さらには学生の身分でお給料が発生することは破格の条件ですが、もちろん、無条件というわけではありません。

防衛医科大学のデメリット

①学生期間中、寮での集団生活が必須となる
②学費は自衛隊勤務を満期行わなければ返還義務が生じる

①学生期間中、寮での集団生活が必須となる
防衛医科大学に入学すると、原則、寮での集団生活となり、実家から通うことは禁止されています。また、外出に関しても制限されている状態です。
1日のスケジュールの例をお示しします。
6:30 起床
6:45-7:35 朝食
8:00 国旗掲揚
8:00-8:20 朝礼
8:30-17:00 授業
17:30 国旗降下
17:30-18:30 夕食
17:00-20:40 入浴
21:00-24:00 自習
24:00 就寝(消灯)

集団生活も求められますし、他の医学部よりも遙かに規則正しい生活となります。

進学校の中には高校時代より寮生活という人もいるので慣れている人もいるかもしれませんが、よほどの覚悟がある人でないとやっていけないと思います。

私はたぶん無理だと思います。

②学費は自衛隊勤務を満期行わなければ返還義務が生じる

学費が無料になるための条件としては自治医科大学と同様に特定の勤務地での用務期間を必要とします。

自治医科大学ではへき地勤務でしたが、防衛医科大学の場合、大学卒業後に9年間は自衛隊で働くことを求められます。

自治医科大学では2300万円の返還義務がありましたが、防衛医科大学の場合、4000万円程度の返還義務を生じている人もおり、返還には高いハードルがあるように感じます。

4000万円もの大金を返還できるならば、私立に行くという選択の方が大学によっては学費が安くなるかもしれません。

防衛医科大学の倍率は?偏差値は?難易度は?

倍率は、2018年入学者が17.7倍、2019年度入学者が19.5と高倍率で、看護学科でもコースによっては20倍近い倍率となっています。

なお、防衛医科大学医学部(医師)の偏差値は68と高いです。

ただし、この倍率は単純に他の大学とは比較できません。

なぜなら、最初にお話したように国公立、私立の受験とは競合しない日に受験することが可能であるため、多くの受験生が国公立と併願、もしくは国公立及び私立と併願という形をとっているため、実質の倍率はもっと低いと考えてよいです。ただし、それでも倍率が高いことは変わりないのですが。

防衛医科大学の受験を考えている人に参考になれば幸いです。