こんにちは!Dr ニーアです。

医者の年収について額面は多いと思われているのではないでしょうか。

しかし、そこには色々なマイナスの面もあることについては前の記事 医者の年収裏事情教えます!~医者は本当に高給取り?~でお話しました。

お話で聞くだけではあまり実感できる部分も少ないと思いますので、

今回は実際の給料を公開します。

実際の給料明細

いかがでしょうか?額面での支給額は81万2000円です。

単純に12倍すると年収は1000万円程度!額面でみると高く感じますね!

さて、そこから所得税などの税金を引いた額がこちらです。

税金が引かれた後は約65万4000円です

依然として高く見えるかもしれませんが、手取り年収でいうと750万円くらいでしょうか。

年収換算で25%、毎月20万円近くが税金として引かれているのです。身を削って働いた給料の1/4は自分のものにはなりません。

繰り返しになりますが、これだけ税金を納めていても、補助金はことごとく所得制限の対象となり、もらえないか、減額されています。

一方で非常にストレスの多い仕事です。

昼夜問わず働き、プライベートの時間は極めて少ないです。

医療ミスとまでは言いませんが、問題があれば常に訴訟のリスクもあります。

それでも、高収入であることを目的に医者になりたいですか?

医者の在り方

実は、今、少しずつ医者としての在り方は変わってきています。

これは非常にゆっくりと年単位で変わっていることなので自覚されないことも多いのですが、

なんと、

お金の問題で医者を辞める人が増えています。

職場を変わる『転職』や『開業』自体も増えていますが、医者そのものを辞めてしまい、他の仕事をする人も徐々に増えてきています。

これは色々な要因がありますが、その中の一つに、

給料に対して医者の働き方のバランスが取れていない

という考えで医者を辞める、もしくは医者の肩書を残して他の仕事に利用していくという考えが出てきたためです。

昔は、医師免許を取得すれば医者としての人生以外の選択肢は殆どありませんでした。

しかし、現在、転職や起業は非常に身近なものとなりました。

以前お話しましたが、医者になるには凄い努力を必要とします。

そして、それだけの努力が出来る人は医者以外の業界でも成功できる素質が大いにあります。

その結果、

より良い条件を求めて医者を辞める

という選択に繋がっているのです。

しかも、そのような人は『医者として優秀』な人も沢山いるため、医学界では大きな損失になっています。

優秀な人ほど医者を辞めるということには殆ど気づかれていないのです。

仕事の選択は自由なため、医者を辞めることは特に悪い事ではないのですが、そこには別の問題もあります。

誰かが医者を辞めると皆の損失

以前の記事で国立大学の学費は安いというお話をしました。

大学をどのように選ぶか?~医学部の学費を知ろう~

私立大学の10%程度の自己負担になります。では、残りの90%の学費はどこから出ているのでしょうか?

それは皆が国に納めた税金です。

逆の視点から言うと、国が90%もの学費を税金で負担して一人の医者を育てるのは、医者として社会貢献すればそれ以上の利益をその地域や国にもたらすと考えられているからです。

そのような人材に医者を辞められると

『優秀な人材』+『2000万円程度の税金』の損失

に加えて、

『医療へのアクセスが悪くなる』

という損失が加わります。これらの損失は大変なものですが、この現実は見逃されているか、ほぼ意識されていません。

もっとも、税金を下げろとか待遇を良くしろと言っているわけではありません。

現状の制度では『優秀な人』は医者という職業に魅力を感じない人も増えており、徐々に損失が積み重なっているという現実があるということをお伝えしたいのです。

ちなみに私は勤務医であることを辞めることは現状では考えていません。

それは現在の立場において現実的側面と医者の理想像が合っており、非常に前向きに仕事ができているためです。

しかし、このバランスが崩れると、色々な選択肢が出てくることも事実です。

繰り返しますが、お金のために医者になって良いのでしょうか?

医者を目指している人はお金のみならず自分の強い意思をもって医者を目指されるのが良いかと思います。