こんにちは! Dr ニーアです。
久しぶりの投稿となってしまいました。本日は日本全国で毎日話題となっているコロナウイルスが医療現場に与えている影響と、現状を冷静に見る事の重要性についてお話します。
コロナウイルスがもたらしているもの
毎日、インターネットやテレビではコロナウイルスによる感染者数が世界的に増えているという報道と共に、生活に大きな支障が出ているということが報道されています。
確かに、コロナウイルスにより、病院内の環境に大きな変化が生じています。
一例を挙げると
●発熱外来が他の症状とは別の場所で診察されるようになった。
●患者の面会には制限がかかっており、急を要する場合以外、断られている。
●マスク未着用者の院内入館制限
●特別入院病床がコロナウイルス専用病床として確保されている
●コロナウイルス患者収容用の病院が稼働している
などがあり、また、ここ数日では医者であることの身分証明書も求められるようになり、また、手術室内におけるマスク在庫の枯渇なども生じています。
しかし、これは本当に全てがコロナウイルスのせいなのでしょうか?
そもそも、日本におけるコロナウイルスの感染者数はご存知でしょうか?
現時点(2020年3月11日時点)で日本国内では感染者568名、死亡者12名と発表されていますが、この数字をどのように感じますか?
確かに、集団(クラスター)感染の感染力は強く、若年者でもコロナウイルス関連肺炎で非常に重篤になっている方もいます。日本麻酔科医学会は新型コロナウイルス感染症の確定例・疑い例に対する感染対策について公表したり、集中治療医学会はECMO相談窓口の開設を行ったりと、学会単位で異例の対応も行っています。
しかし、その一方で今年は殆ど取り上げられる機会が減っているインフルエンザの感染者数と比較すると、少し、異常な取り上げられ方ではないでしょうか。
現状を冷静に見る
2019年のインフルエンザ死亡者数は1か月で50人以上になった月もありました。自分の所属する病院内でも毎年1~2人はインフルエンザに関連した肺炎で亡くなりました。
例年、冬が来ると『インフルエンザの季節前、予防接種のために病院に殺到』といった内容や、『インフルエンザにならないように手洗い、うがいをしましょう』という程度のニュース程度しかありませんが、今年は同じような呼吸器合併症を生じるウイルスが現状、インフルエンザ感染者、死亡者よりも低いにも関わらず、インフルエンザとは全く異なる状況を作り出しています。
マスク転売問題、周回活動自粛、労働生産性の低下、そして株価にも強い影響を及ぼすなど、経済に影響を与え、一方では、マスク無しで咳をしたことで喧嘩になったり、マスクが無いことでスーパーやドラッグストアにクレームを入れたり、コロナウイルス感染者が他人に感染させようとする行動を取るなど、歪んだ行動が目立っています。
これらの事は、コロナウイルスをきっかけとした人間が起こしている事です。コロナウイルスは人を殴らないし、罵詈雑言を浴びせかけたりしません。また、マスクの買い占めや株価を直接下げたりはしません。
どんな時も普段通りでいることはできませんが、これまでに無い状況が訪れている時こそ、現状を冷静に分析し、行動をしたいものです。