こんにちは!Dr ニーアです。

医学部の学費が『減額』となる大学として挙げられるのが産業医科大学です

産業医科大学ってどこにあるのかわからない人も多いと思います。

産業医科大学は福岡県北九州市にあります。

尚、福岡県は医学部を有する大学が4校あり、国立大学としては九州大学の1校、そして、私立大学としては産業医科大学、久留米大学、福岡大学の3校になります。

では、産業医科大学、に名前がついている『産業医』とは何でしょうか?

今回は『産業医とは?』と『産業医科大学で学費減額となるには?』についてお話します。

産業医とは?

産業医とは、ある一般企業において、労働者、もしくは社員の健康管理などにおいて医師としての専門的立場で指導・助言を行う医者の事です。

ある規模以上の事業場において選任が義務付けられており、産業医を選任しないと労働安全衛生法第13条違反となります。

簡単にいうと、

ある一定数の職員を有する職場では、その職員の健康管理を担う産業医を雇いなさい!

ということになります。

ちなみに、産業医を選任する目安は、ある企業の労働者が常時51名以上になるかどうかとなり、51名以上では産業医の選任を求められます。

また、第13条を良く読んでみると、

『常時千人以上の労働者を使用する事業場、又は、次に掲げる業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場』には産業医を専属で選任することが求められますが、

その次に掲げる業務の一つに

『ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務』

であったり、

『深夜業を含む業務』

が含まれます。

つまり、大規模病院にも専属産業医を選任することが求められます!

また、最近は働き方改革による時間外勤務の制限が医療界に広がっており、時間外勤務が多い場合、我々医者でも産業医の診察を受けて下さい、と病院から勧告されます。

そもそも時間外過多になるような仕組みで働かせる構造になっている病院が多いので、本末転倒の感じもありますが。。。

詰まるところ、産業医とは企業における労働者の健康を守るという目的で選任されているのです。

『産業医科大学の学費減額とは?』

産業医科大学の位置づけは私立大学となりますが、自治医科大学と同様に国からの助成金があります。実際は、学費は大部分が貸与という形となり、完全に無料というわけでは無く、実質学費が1/3となります。

これはこれまでにお話してきた自治医科大学や防衛医科大学とは少し違うところですね。

1/3でも6年間で1100万円程度は必要となりますので、国公立よりも負担額が高く、私立より安いという感覚です。

ただし、学費『減額』となるには、この2校と同様に、卒業後9年間、産業医科大学が指定する医療機関での勤務を求められます。

具体的には
①産業医
②産業医科大学の教員
③労災病院の医師
④厚生労働行政機関の職員
⑤その他修学資金貸与規則に定める職務

での勤務が必要となりますが、追加条件として、「産業医」以外の職務(産業医科大学の教員、労災病院の医師等)に就いたのみでは返還免除の対象にはなりません。2年以上は「産業医」として企業等に勤務しなければならないとあります。

要するに、単に大学病院で勤務することや、指定される病院で9年間過ごせば良いわけではなく、必ず、産業医かそれに準じる役職に就くことが求められます。

それが産業医科大学の主目的ですからね。

なお、9年間の勤務ができなければ2000万円程度の返還が求められますので、決して安くない額となります。

このように学費の減額という面で完全に無料となるわけではありませんが、2000万円減額できるのは大きいのではないでしょうか。