こんにちは!Dr ニーアです。
本日は大学の違いが医師国家試験合格率とどれくらい関わるかについてお話します。
実の所、全体の合格率は高いです。
2019年度(第113回)国家試験についての厚生労働省の発表では
合格率は全体で89.0% 新卒者の合格率は92.4%とされています。
全体というのは新卒と既卒(受験回数2回目以上の受験者)を含みます。
平均合格率は、国立:90.2%、公立:92.1%、私立:88.9%です。
尚、合格率が最も高かったのは、「自治医科大学」の99.2%(新卒者合格率が100.0%)、そして「順天堂大学医学部」98.4%と続きます。
いずれも90%近く、殆ど差は無いようにみえます。
しかし、国公立と私立の合格率90%には大きな違いがあります。
国立と私立の学費の違いについてはお示ししましたが、その違いが実はここに関係しています。
国公立は学費の殆どが国から補助されている一方で、私立はほぼ全額が個人の負担になっています。
国公立の医学生が1年留年した場合、その1年間の学費の90%はやはり国からの補助となりますが、私立の医学生が1年留年するとその学費は100%個人負担となります。
実は、私立大学の多くは国家試験に合格できそうにない学生を卒業試験で落とし、留年させます。
国家試験の本番については別の記事で書きますが、国家試験本番ではある地域(5~6大学)の大学がその地域のある一か所に集まって受験します。
その時、国公立大学受験生と私立大学の受験生が同じ個所で受けるのですが、私立大学の学生の席には空席が目立ちます。
卒業試験で足切りされて留年(卒業できない)している結果として起こる現象です。
これは私立大学が合格率を上げる目的と留年してもその学費が100%個人負担となることがマッチして可能となっており、私立大学の多くは卒業試験の方が国家試験より難しいと言われたりします。
一方、国公立大学で同じことをすると、その分、国に負担を強いることとなるため、卒業試験で落ちることは比較的稀なことのようです。(普通に留年はします)
そのような調整を経た後の合格率ということは知っておいていただいても良いかと思います。
しかし、そもそもの前提として、普通に勉強していれば医師国家試験には合格できます。ですので、合否は大学による差ではなく、個人の差が大きい要素となります。
結論としては国家試験合格率の違いによって大学を選ぶ必要はないと考えます。
次回は合格率100%の自治医科大学についてお話します。