こんにちは!Dr ニーアです。

本日は医学部の面接試験について自身の経験を基にお話します。

さて、前回、私は

『一般入試において面接が大きく合否を変える可能性は非常に少ない』

とお話しました。

その理由ですが、実際に自分が面接を受け、医学生、そして医者となって思うこととして以下の事が挙げられるからです。

個人面接の短時間で人間性を判定することは困難

特に一般入試試験において、学校もしくは塾や予備校で程度の差はあれ、面接対策を全くしない人はいないと思います。

よって、例えばある時事ネタの質問をされた時に受け答えがある程度似た答えになります。

点差は殆ど開きません。

また、医者になりたい理由や将来の展望について個別の質問をしてもその返答がどこまで本気かは中々わかりません。

この受験生は本気で言ってそうだから50点、この受験生は嘘っぽいから0点などの試験にはなりません。

これも普通に答えていれば差がつきません。

高校生に死生観や医学的知識を聞いても内容が伴わない。

私は高校の時、医学の勉強に関して職場訪問や医学書の閲覧などある分野において興味をもって勉強しましたが、実際に医者になると勉強で得られた知識と現実の差が非常に大きいことに気づきました。

つまり、面接で医学的な内容の質問に対してどれだけうまく受け答えできていたとしても、面接官(主に教授)からすると内容は非常に薄いと感じます。

経験が伴っていない机上の空論であることが多いからです。

もしくは、前述の通り、どの返答も似通った内容になります。

実際の面接は合否が変わるような内容では無い

自身の面接の実体験に関して覚えていることを以下に出来るだけ記述します。

一般入試の個人面談でした。

受験生1人に対して面接者4人という状況。

聞かれた質問を書きます。

・名前と出身高校(都道府県)
・医学部を志望した理由
・高校生の時に力を入れていた活動
・自分はどんな人間であると思うか?
・なぜ自分の出身の都道府県では無く、別の都道府県の医学部を受験したのか?
・推薦受験をすることは考えたのか?
・どんな医者になりたいか?
・卒業したらこの大学に残りたいか?
・後期試験はどこを受けるつもりなのか?
・最近気になっている、もしくは興味のある医学分野は何かあるか?

他、2、3の質問と雑談でした。

いかがでしょうか。合否が大きく変わる内容がありましたでしょうか?

丁寧に回答していけば大きく差が付きにくい内容ではないでしょうか?

医学部入試面接の対策

実際の質問を見ると、何もしなくても良いと思われるかもしれませんが、ある程度の対策は必要です。

大差がつかないことを前提とする

学力試験が終わった後に面接が行われることがほとんどです。

よって、面接試験の点数は調整程度になります。

大きな点数の逆転は例外を除いてほとんどありません。

同じような学力試験点数の間で前後数人が入れ替わる程度です。

謙虚に返答する

医者になって思うことは、後輩には素直で真面目かつ、変に自分を良く見せようとしない人が好まれます。

この点は周りの医者と認識は共通しています。

ですので、そのような人間を“魅せる“ことが大事かもしれません。ただ、特別な事をしようとするのではなく、

色々な質問に素直かつ謙虚に答えるだけのことです。

嘘を言って自分を良く見せようとしても、いくつかの質問に返答する中でおかしな点があると逆効果になるかもしれません。

面接に『慣れるため』に練習する

これは、面接そのものに緊張しないように練習するという意味です。

面接の練習を全くしない場合、本番で緊張し、受け答えが出来ないとすると、本来普通に得られるはずの得点を失ってしまうからです。

学校、塾や予備校の面接対策があれば、回数を重ねて面接に慣れることを意識してください。

ただし、個人でも、ある程度の答えを考えるなどの用意は可能です。

時事ネタを調べておく

私の時は質問されませんでしたが、年や大学によっては医療関係の質問が来ることは十分予想されると思います。

ただし、医学のネタをどれだけ仕入れても、中々説得力のあるお話はできないので、理想の回答をしようとしないでください。

答えを作れば作るほど現場を経験を知っている人間からは怪しく感じます。

どんな話があって、自分がそれに対してどう感じたか、それに理由をつける、程度で良いと思います。

わからないことは素直に『わかりません』で大丈夫です。

それだけで合否が決まることはまずありません。

面接によって落ちる人の特徴

ここまでで、面接ではそれほど落ちる人はいない、というお話をしました。

しかし、例外があります。

これは以前、医学部の面接担当者(教授)をお話し、確認したことです。

面接で本当に危ない人(医者としての適性が無い人)と判断された場合です。

どんな人が危ないかというと

明らかな嘘を繰り返しついている

いい加減な受け答えをしている

過度に礼儀がなっていない

倫理観が全く伴っていない

などと、複数の面接官によって同様の判断がされた場合、学力試験でどれだけ点数が良くても面接で落ちる、もしくは、大幅な減点をされる可能性はあります。

尚、倫理観が伴わないというのは具体的な例を挙げますと

安楽死についての考えを問われた時

現状の法律では法律違反にも関わらず、

『必要と思うので積極的にした方が良い。』

など、現状の常識・法律に反してしまうことを根拠なく個人の気持ちで押し出してしまうなどの場合などが考えられます。

要するに、現在の医療行為に大きく逸脱しない倫理観と謙虚に自分の事や考えを素直に表現する気持ちを持ちあわせれば大きくは差がつく試験にはならないのです。

参考になれば幸いです。